『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』、久々に良作ドラマに出会った気分


湊かなえ、三浦しをん、角田光代というせいじでも名前を知っている3人の女性作家たちの短編小説を映像化したオムニバスドラマ。

お正月のスペシャルドラマとして放送。

いや~良かった。
でも何が良かったんだろう。

2時間枠だけど、3篇のオムニバスなので1話40分ほど。
だから中だるみする間もなくばばっと行く感じが良かった。
かつすべてミステリーだから、その謎解きの緊迫感が40分という尺だとよりピリピリと感じられるのかもしれない。
そして、このドラマの共通テーマは高校生時代の友情。
若さと希望でキラキラとしている学生時代の友情っていうのは、せいじのすごく好きなテーマでもある。
しかも今回はそのキラキラ感だけではなく、歳月を重ねた現在を追っているあたりがいいよね。しかし、キーとなるのは学生時代の友情っていうね。
いやー、いいよねこういうの。
高校生のときにこれを見てもそこまで響かない可能性があるけど、今見たのがよかった。もしくはあと10年後ぐらいにみても良かったと思える可能性もあるけど、場合によっては心をえぐられるような切なさをぶつけられる恐れもあるので、やっぱり今がベスト。

そしてなんといっても役者陣がせいじの好みだった。

まず、1本目、湊かなえ原作「ムーンストーン」
主人公を永作博美、その友人を檀れいが演じてるんだけど、永作博美の女優魂を見たね。すごい、超老けてるんだもん。これ、メイクじゃないよね。たぶん特に何もしないとこんな感じの疲れてはりのない肌になってしまうんだろうな。それを見せてしまう強さね。もちろん見た目だけじゃなく、しっかりとした悲壮感も良かった。その対比で出てくる檀れい。美しい。その高校生時代を演じた久保田紗友が適役すぎる。あのきりっとした存在感。てっきり、この子が檀れいになるのかと思ったら永作博美になるという驚きもぴったし。展開上なんとなくわかってきたけど、いや、この顔は檀れいでしょ!って訴え続ける存在感ね。
3作のなかで一番きれいな友情物語だったかな。終わり方がさっぱりしていたけど、この後の展開をダラダラとやられてしまうと、この爽快感がなくなってしまうので、観たい気もするけど、これが一番きれいな形で満足。

2本目は、三浦しをん原作「炎」
こちらは主人公を土屋太鳳、友人を門脇麦の朝ドラコンビ。あの朝ドラは駄作もいいとこだったけど、こちらは素晴らしい。土屋太鳳と門脇麦の使い方をよくわかってらっしゃる!土屋太鳳はこういうちょっと暗めの静かな演技をさせる方が際立つ。そして門脇麦ちゃんはおとなしそうに見えて激しいというか、今回はちょっとギャル感もあったけど、意外と似合ってた。話の展開も考えれば考えるほど、門脇麦の恐ろしさがゾクゾクと迫ってきて面白い。
まあ今回のさりげない主役は何といっても村上虹郎くんだね。前からちょいちょい話題になってて顔も見たことあったけど、今回の演技で話題になるだけのことはあるなと確認できた。
最近はやりのちょっと死んだ目俳優ではなく、完全目力俳優。柳楽優弥くんに通じるものがある。男の色気抜群で今後の活躍に期待。

3本目は、角田光代原作「平凡」
この作品に関しては確かに良かったけど、ちょっとパワー不足かなと。全編通じて登場している三浦友和エピソードを無理やりねじ込んだ感があるけど、まあ全体としてもそうした印象。平凡になれという呪いが若いときと今では違ってしまったというか、そもそも平凡であることが幸せであるというか、ただそこまでは言ってなくて、なんだかもわもわっと考えさせられて終わるドラマだった。せいじにはちょっと見る年齢が早すぎたかな。とりあえず、主人公の寺島しのぶと鈴木京香という大女優2人にここまでロケの撮影を強いたのはある意味感服。そしてそれが成功していたと思う。二人とも綺麗だった。

3篇通じて思ったことは、やっぱりドラマはいくらでも面白いものがつくれる可能性っていうものが秘められているものだなあと。
それはどんなエンターテイメントにおいてもいえることで、つまらないものは面白くする努力が足りないだけだね。人それぞれに好みがあるっていうのも言い訳。好きとは言わせなくても素晴らしいものには相手を黙らせる何かがあるはず。

せいじもがんばろう(*’▽’)!!